私の初めてのブログです

アンチデジタル派だった私は、必要にせまられて、ネットを始めた。ワープロは、マス
ターしていたけれど、情報がなかなか手に入らない。清水の舞台から飛び降りるつもり
で始めたねっとだった。もともと、基礎の無いところに、やたらと複雑な操作をやりは
じめたので、毎日しっく八苦。まさに、砂上の楼閣だ。それでも、秘密裏にブログを開
き、趣味のエッセイを綴って行こうと思う。何しろ、ささやかな事柄にも、心の琴線が
震えて、エッセイの基となるイメージが、わいては薄れて、消えてしまう。書き留める
暇も無いほどの忙しさに私の心は、張裂ける寸前だった。そして、昨日(:10年5月
4日)とうとうしぼんでしまった。日常の心臓の波形はぴーとなったまま微動だにしな
い。しかし、書きたいと思うと波形が生じるように動きだす。そして、このブログ、第
一回のエッセイができあがった。これは、八百字にまとめられている。それは、ある地
方新聞に投稿するつもりもあるからでもあり、短く文章をまとめる力も付けたいからで
もある。幸い、なれたワープロで作成して、このネット用のパソコンに移せるので、落
ち着いて書けることがわかった。私は、中途失明者なので、話題は、そちらの方に傾き
やすいが、私としては、以前趣味だった油絵を描くように、文章で、感動したり、感激
した場面を、心の動きとともに、一腹の絵として表現できたら、と思っている。   
 「 ほやの話し 「   その日の朝、塩釜に上がった魚類を仕入れ、その日の内に
配達、小売をモットーとする
魚屋さんと知己となり、数年となる。私は、毎週月曜日、へるぱーさんの車で買出しに
でてその店に寄る。その度に、魚に関する新しい発見がある。先日、「ほやは、そろそ
ろ身が入ってきましたよ」と、手渡ししてくれた。ての平にあるほやは、しわしわで、
元気がなさそう。「外がわを叩いて見て、生きていると、だんだん硬くなるから。」と
社長さん。「えっ」と思いながら表面をトントンと叩いた。「わーっ」と驚きと感動で
つい声が出た。叩けば叩く程ほやは硬くなる。手の平で懸命に自己防御している小動物
に、いとをしさを覚えた。でも私は、そのほやをおいしくいただく。プロの調理師さん
が捌いてくれた。我が家のモットーは、旬の物で安くて天然の物と決まっているので、
高級品は勧めない。余計な買い物をする心配はない。目移りもない。ただ社長さんまか
せだ。決算期には、高級魚が信じられない価格で紹介される。喜んで購入して、時なら
ぬご馳走を味わうという幸せに巡り会う事、しばしばだ。鯛の白子、ふぐの白子など、
聞いた事もなかった。それだけ、高級料亭とは縁の無い生活をしている。数や大きさな
ど規格外は、いともたやすく安価で売買される。ほやは順調に育って、しわしわのまま
買い手を待っている。知らなかったが、新鮮なほやは、匂わない。ほや其の物に海の塩
味がついている。身は硬くて引き締まっている。私の子ども時代は、ほやは、匂う物、
酸っぱい物、ふにゃふにゃした物で、家族でも、母と兄しか食べなかった。父も私も鼻
をつまんでいやーな顔をして、遠ざけていた。きっと、天国の父は、母に言われて恐る
恐る食べてみたかもしれない。「どうです、おいしいでしょう」と微笑している母の姿
が目に浮かぶ。それにしても、母は、生きてるほやは叩けば硬くなるのを知っていただ
ろうか?