ばん茶せん茶への投稿です

プレゼント
誕生日やお世話になった方々に贈り物をよくする。が、時には義理チョコのような形だ
けの贈答もある。幸いにも私を取り巻く人々は、心をこめて贈り物をしてくれる。だか
ら、相手の思いがびんびんと伝わってくる。障害者の権利に目覚めたとは言え、私達は
周りに遠慮しがちになる。だから、日頃の支援に、感謝をこめて、さも無い物で気持ち
を届けたくなるのだ。ある友人の誕生日が近付いたころ、「誕生日は、年末なので、い
つも忘れられて、プレゼントなどもらった事ハ無い」とぼやいていたが、音波椅子の上
にペットボトルに入った水を発見したそうだ。「これ、何?」と訊くと、普段無口な御
主人が「プレゼントだ」と一言。確かに音波を通した水は、体に良い。普段彼女は手間
をかけてその水を作っていたと言う。「何にも無いからやれるのは水しかない」からだ
そうだ。二人は、しばし笑い転げたが、「水のプレゼント!」真顔になって」すごーい
!」と彼の純粋な思いに感動した。毎月我が家に集まって、障害の事、など勉強したり
、喋ったり、笑ったりしているが、車椅子生活になった友人も、本人の努力もあって、
集まりに目出度く復帰。ドキドキ、ハラハラの御主人も、家族会で、すっかり打解けて
くれた。その彼は、彼女の知らない内に、銀杏の実を山程集め、土に埋め、実だけにな
った銀杏を河で洗い、一人づつ袋につめて全員にプレゼントしてくれた。彼は、早朝ラ
ンナーなので、その間にやり遂げたらしい。家の中で、動かなくなった脚と腕で格闘し
ていた彼女には想像も出来なかった様だが、彼女にとって、金貨より高価なプレゼント
だったと私は思う。遠くに住む娘も、障害のある息子が中学を終えるので、お世話にな
った方々に、祖母の残した山程の毛糸で、錫入りのぼんぼんのストラップを50ッ個作っ
たと言う。亡き母も嬉しいことだろう。私も、心をこめたプレゼントが、いつまでも出
来るよう元気でいなければとつくづく思う。

小田嶋保子  62歳  主婦  花巻市下幅4−10
電話  0198−24−5213