ばん茶せん茶への投降です

冬のひまわり

放射能を吸収する花と思われていたひまわり。高価はなかった。が、人々は、微かな希望を託しはした。

友人も、種から育てた小ぶりのひまわりを、二鉢届けてくれた。

夫と私が、仲良く幸せに暮らせますようにとの思いを込めて。それらは、太陽に向かって花を咲かせ、季節を終えた。

視力を失っている私は、それらが枯れて種になったかどうかには関心はなかった。


震災後、また冬が訪れる。異常気象に戸惑いながらも、人々は、日常を取り戻すために、お互いに助け合いつつ、営々と努力し続けている。季節外れのひまわりは、既に忘れ去られている。


埼玉の妹は、ベランダで様々野菜の根や種を発芽させて、それらの花々を愛でている。

以前、彼女から「冬に向かうけど、実験のつもりで、一度咲いて種になったひまわりを植えてみた」と電話があった。

最近、そのひまわりたちの成長ぶりが、時折届くようになった。

彼女も例に漏れず、暖房を控えて節電している。こまめに陽にあて、夜は、中に入れ、肥料や水遣りをしていたらしい。

「ちょっと、ひまわり、三つもつぼみがついたわよ。咲きそうよ、中の黄色い花びらが見えるの。とうとう咲いたわよ。ひまわりって、作と、どんどん花が大きくなるのね。でも、冬に、無理無理咲かせて、悪い事したかなー?」と、喜びと後ろめたさが入り混じった電話。

「もし、こぼれた種でも、条件が揃えばきっと芽を出して咲いたと思う。こっちも、今ごろ咲く筈のない花が咲いているもの。種になるまで頑張らせて、来年の夏、また、咲くかどうか、試してみてよ」と、私。

そして、二人とも、来たりし年月に、思いをはせ、近年の気候変動に不安を感じあっている。

人的被害には、効かは無かったけれど、冬に咲いたひまわりは、年を重ねて行く妹と私2、

「冬でも咲けるよ。夏にも咲かせて」という、明るく今を生きる力と、未来のために生きる希望を与える効かは、あったようだ。

小田嶋保子 63歳 無職 花巻市 下幅 4−10
郵 025−0068  電 0198−24−5213

2011年12月3日