ばん茶せん茶への登校です。

タックンののれん
我が家は玄関から台所が丸見え。

そこに藍染ののれんがついた。

全盲になって、家内で転んで何度か骨折の憂き目をみた。

義父の初盆とて、娘一家が我が家に何年ぶりかで一泊した。

孫達は、身の丈も体重も私を越してしまった。

孫息子は、養護学校の高校2年。

会う度に「おばあちゃまは、見えないから、うんと言ってね」と約束している。

今回も「うん」と頑張って声をだしてくれた。

タックンからのお土産は、藍染に絞りの入ったのれんだった。

学校の実習で作ったという。

夏休みも終わり、また学校で、何かを作ったりすることだろう。

身近で育った訳ではないので、戸棚の中に入ったり、頼んだ物をちゃんと持ってきて驚かせたり、

食事は、好きな物から食べて、残りはいつまでも食べないなど切れ切れの思い出はある。

それでも、会うたびに成長しているのが分る。

のれんは、出来合いかもしれないが、他でもない私に役立った。

長めののれんの模様は分らないが、そこから先が台所だと知らせてくれる。

時々迷って事故ってしまう私2は大事な目印だ。

短いのれんを下げた。区別がついて大いに助かる。

夫の実家での初盆を終え、娘一家とお気に入りのすし屋に出かけた。

孫達の食欲は旺盛。

一人前の他に、二人の好きなアナゴとサーモンを「おいしい、おいしい」と食べた。

タックンは、あなご派。

「一個、頂だい」と頼むと「うん」と言って渡してくれた。

私は気付かなかったが、タックンは、とても悲しそうだったそうだ。

慌てて戻した。

きげんは直ったらしい。

なんと素直な感情表現だろうか。

その晩、娘と語り合い、完全徹夜をしてしまった。

タックンののれんは、彼のこれからを、経済的に決して助ける物とはならない。

親亡き後、子ども達亡き後、彼は、幸せに人生を閉じる事ができるだろうか?

娘夫婦とともにタックンののれんをくぐって、1歩ふみださなくては。
年をとってしまった、などを言い訳にしないで。

小田嶋保子 63歳 無職 郵 025−0068  花巻市下幅4−10
電話0198−24−5213