岩手日報、論壇に掲載されました

危機感せまるTPP

私は戦後生まれの団塊の世代。「平和と民主主義」「普通選挙権」労働者の権利を手に
入れ「働く者の明るい未来」に目覚めた先達のいぶきと熱気の中で育てられた。

「国敗れて山河あり」の状態から出発し、人々は努力し、子供達を見守り育んだ。

田畑は潤い、作物は実り、山々も紅葉し、動物達とも共存しあえる所に迄に至った。

貧しいながらも、憲法教育基本法に守られ青年期を迎えた。

一方、飽く無き工業の発達で「金の卵」と持て囃され、若者達は都会に吸いこまれて行
った。

やがて、食料や木材などが安く輸入され始め、


減反政策で、田畑は荒廃し、山々は荒れほうだいとなった。やっと仕事から解放された
と思いきや、「高齢化社会到来と国税を食いつぶす厄介者」と疎まれ始めた。

しかし「憲法のおかげで自分達の子供達、孫達は戦争で人を殺し、殺されたりはさせな
かった」との自負心は在る。

戦争で大切な人を失った喪失感は無い。

これは国民として国家として最大の喜びと幸福である。

社会科で、明治維新以後、列強国に追いつけ追い越せとの国策で「富国強兵」の下、


欧米の文化を強引に輸入した。

(今ならさしずめ「行け行けドンドン。バスに乗り遅れるな政策だろうか。)

そして領土拡大路線をひた走りに走った。

明治大正昭和と食べて行けない農家の次男三男は兵隊となり、しまいには学と出陣にま
で至った。

彼らの多くは食料の補給も無く「天皇の赤子」として餓死した。

広島長崎の「きのこ雲」の写真で日本人も沢山犠牲となったと教わった。

先達は「戦争は絶対に嫌だ」とのメッセージを残し、日々世を去っていく。

ところがバブルがはじけた今「国際競争に勝って世界一の国を目指す」とTPPに突入す
るという。

平和憲法を捨て、国防軍を創り、天皇中心の憲法を創る案まで浮上している。

TPPの内容は日本を戦前に戻し、新たな利益を得ようとするものである。

TPPに加入すれば、貧困層は増え、国土は荒廃し、

地球に依存する第一次産業は疲弊する。気付くと食料は欠乏し、餓死者が続出。

富裕層だけが金に物を言せ、越え太る。

これでPTTは「富国強兵」とぴたり重なる事が分か。

るその証拠に、賛成論者はTPPは「国益」とは言うが「国民益」とは決して明言しない
のである。



小田嶋保子 64歳 無職

郵 025−0068  電話  0198−24−5213

花巻市 下幅4−10